7139  具眼の士あり 王老五 07.10.29

 やっぱり日本国外務省にも具眼の士はいらした。非国民だけではなかった。
 日米開戦時の外交資料を公開せよ、と国に求める元大使がいらした。元大使とは、外務省出身の方に
ほかならぬ。
 
 当時、この元大使が寄稿し、産経が載せた記事をそのまま貼付する。



 筆者はこの切抜き記事をもう七年も抱えていたことになる。
 さすがは専門家、鋭い指摘である。
 意外だったのは、開戦時、軍部はむしろ交渉の打ち切りを望んではいなかった、という事実である。
 これは重要なことである。これを得て、筆者は「やはり・・」という感が拭えない。

 軍とは、毎日仮想敵から守る訓練を施している。だから、実力行使そのものには専門家なのである。
実力行使の専門家とは、取りも直さず、その悲惨さを肌で知っている。机上で駒を進めるだけの連中と
はいささか異なる。
 悲惨さを知っているだけに、出来れば実力行使を回避したい、というのが、人間の心があれば当然だ

 親は子供に比べ、人生の艱難辛苦を経て来ている。だから、出来るだけ我が子にはそれに遭遇するこ
とを避けたい、と思う。これは自然な感情の発露である。だから、無駄足を踏まぬよ、親は我が子に
一所懸命に勉学に勤しむのを我が子に求めるのは、この理由が為なのである。親の愛が時には脱線し、
子の勉学奨励に無理強いが伴うことも起こりうる。一般に学歴がまずまずあれば通常世の中を渡るのに
学歴が乏しいのと比べ、有利なことは明白だ。

 もちろん、軍という存在が実力行使を出来るだけ控えたいというのは、上述の親が我が子に対する
対応とは似て非なる。ただ「実力行使すれば彼我共悲惨だ」という実感は、子以上に人生経験豊かな親
の方が、我が子が社会に出ていくにあたり、ろくに学歴もなしに、徒手で歩き出すという試みは、辛苦
を覚悟せざるを得ない、ということを知悉している、というのが同一といわねばなるまい。

 筆者は別の資料により、実は日米開戦の通告が遅れたのは、在ワシントン日本大使館のせいでなく、
東京の本省からわざと遅れ気味に通告が届いた、という事実を知っている。
 当時の在ワシントン大使館の書記官、通常ならば、これは大失態だ。免職ものだ。が、渦中にあった
二人の書記官いずれも、その後官吏の最高位置である次官にまで昇進している。なぜなのか?
 東京の本省は、その二人の書記官の所作を何ら失態と受け止めていない、という証左だ。つまり、実
はすべて本省からの指示により、対米通告が遅れるように図ったのだ、ということだ。

 軍が実力行使を避けたい、というのが本心だということは、米国のブッシュ政権にもみられる。
 同政権第一期、軍人の最高位を経てきたPowell国務長官が、イラク戦争に踏み切るのに躊躇
した。が、一方では、仮に踏み切るのであれば、米軍は大兵力で以て一挙にイラクを制圧してしまう
必要あり、と専門家の立場で述べていた。
 が、副大統領と国防長官の二人に押し切られ、安易に開戦に踏み切り、そして兵力とて、不十分な
兵員数でかかった。その結果が現在を示している。羅患せる風邪に生半可に服用したため、簡単に治る
べき風邪を却ってこじらせてしまった、というのと似ている。

 日本国民はまだまだ暗黒のまま目隠しされているようなものである。           ■





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