7053  「テロ」という用語 王老五 07.04.01

 平成の日本では、いとも簡単にこの「テロ」という用語を深く洞察することなしに使用している。
ことに報道機関。報道機関がそうであるから、あまりおつむの良くない、殆どの一般国民はそれに何ら
そのことに疑問を感じない。唯々諾々と従っている。羊の群れだ。
 自分の頭で考えようとしない(能書きを自ら作成できない、仮に出来上がったものはクイズのごと
し。発信文、服務の解説書もこの場合の能書きに含む。あるいは出来合いの能書きの妥当性を疑問視を
以て眺めることをしない。つまり、サイボーグなのだ、半機械人間。)大半の日本国民は、決して
おつむがいいとは推奨できぬ。明治末期の頃までは一般国民がそうであっても、国家を率いる指導者が
優れていた。今、指導者にある立場の人間共は、儕輩の群と同等の水準の面々が担っているから、平成
日本の悲劇は増すばかりである。

 当地中文の新聞は、「恐怖攻撃」と原語の意味をそのまま伝えている。用語だけで意味するものは
よく理解が可能である。

 原語は、Terrorであることは果たして平均の日本人は知っているのか?
 Terrorは名詞だ。単に「恐怖」を意味する。そして「恐怖攻撃」という中文訳になった原語は
Terror Attackだ。これを日本語では俗に「テロ」と叫んでいる。意味をよく把握する
ことなしに。NHKのアナウンサーがそういうから、という弁解が平均的聡明でない日本人からそう
返ってくるであろう。
 「恐怖攻撃」を概念として捉えた場合、Terrorismという名詞が元になっている。

 いずれにしても、この新しい社会現象に用語を設定し、それを位置付けたのは、やはり英語なので
ある。中文はそれを内容に忠実に翻訳したもので表すことにした。日本語? 内容を忠実に、という
努力をすることなく、怠慢にも、ただ原語の発音の一部だけ、全部でなく、ほんの一部だけを、それが
日本文化の破壊につながるということもまるで念頭になく、自動的にカタカナに置き換えただけだ。
 日頃、筆者は香港人を横着の代名詞扱いにしているが、この件に関する限り、日本人の方が原語の
持つ意味を忠実に移転しようとする努力なしに、怠惰に漂流し、ただ原語の一部だけをカタカナに置き
換えた、といえる。「日本人は勤勉だ」という看板はここで降ろさなければならない。
 
 そう経緯があるから、「テロ」とはいったいなんぞや、という問いに大半の日本人は答えられない
だろう。報道機関の諸君らからも満足な回答が返ってこないであろう。
 かく申す筆者も忸怩たるものだ。その概念を明確に整理し、人に伝えるほどの理解はなかった。
 それもこれも、「テロ」という言葉が邪魔していたからだと思う。

 Dan Brown の小説、「ANGELS & DEMONS」。page 173 & 174.

 "Terrorism," the professor had lectured, "has a singular goal. What is it?"
 "Killing innocent people?" a student ventured.
 "Incorrect. Death is only a byproduct of terrorism."
 "A show of strength?"
 "No. A weaker persuasion does not exist."
 "To cause terror?"
 "Concisely put. Quite simply, the goal of terrorism is to creat terror and fear.
Fear undermines faith in the establishment. It weakens the enemy from within...causing
unrest in the masses. Write this down. Terrorism is not an expression of rage.
Terrorism is a political weapon. Remove a government's facade of infallibility., and
you remove its people's faith."

 目から鱗が落ちた。そういうことだったのか。怒りをただ暴力に訴えて暴れまわるのが目的では
なかったのか。殺略は活動の副産物だという。ひとつの政治活動の一環ということになる。
 まるで邦字紙の報道上、「テロ」の扱いは、かつての土井たか子女史が自民党の安全保障政策を
「教え子を戦場に送るな」と絶叫していたのと同様、ただテロそのものを蛇蝎視するだけの対応である。
起きたテロ攻撃事件の背景を探り、誰がどの政府を恐怖の落とし入れ、攪乱しようとしているのか、
その分析がない。
 まだまだ成長が必要だね。平成日本よ。明治以来退化の一途を辿っている品質低下をどこかで食い止め
なければならぬ。それは「美しく」なる前の前提ではないのかね、安倍よ。           ■





                                                                      元へ戻る