7010  一流ホテルの気の使い方・中華人民共和国 王老五 07.01.28

 浙江省は、元江蘇省の一都市であり、その後政府直轄都市となり、今や大陸最大の商業都市と
なった上海と、浙江省の首都であり、かつて「上有天堂、下有蘇杭」とまで謳われた杭州と実に
中間に位置する嘉興市を訪れた。豊かな田園風景が広がる、裕福なる地域のひとつといってよか
ろう。
 以下ご参照可被下候。
  
 

 これは宿泊部屋の窓外景色を筆者が撮影したもの。豊かな敷地を存分に使って境内はゆったりと
した公園に囲まれている。撮影時期は2006年の7月頃だったか?
 この五星級宿屋及び当地市民が自慢なのは、現役時代の江沢民主席が宿泊した、というものだ。
 敷地に不足がないから、建物そのものの高さはせいぜい五階ぐらいだったか。が、外観はまるで
巨大な研究所か国際会議場を思わせる風情だった。だから、毎朝晩食事の場所に足を運ぶのが億劫に
なるほど移動距離があった。ことに出張の目的がそのホテルから車で半時間の距離にある工場に
おける船積前の検品。連投の高校野球の投手もかくのごときか、と思わせるほど毎夕帰還すれば、
疲労困憊の極だったから、食事に出向くその場所がいっそう大変遠いものに思われた。

 器は立派であった。これほどのホテルは日本にあれば、それこそ頭から20番目ぐらいの範疇に
入れなければいけないだろう。そう、器だけの競争であれば・・・・。
 
 朝食。今や世界的にどこの宿屋も「自助餐方式」になっている。日本語? まともな日本語がない
のですねえ。この場合でも。下手に説明するのが面倒だから、日本から来る不慣れな客人には、
「パイキング方式」と告げると一度で理解を示してくれる。本来はこんな用語を使うのでないが。
 が、仕方ない。田舎者日本人にはこれで一発。英語では、Buffet、と称する。tは発音し
ないから。
 フランス製有名牌の袋物VL。Lの部分をLouis と綴る。それを「俺、ルイジ ** の
バッグを買いたいんです。」と綴りを正確に発音しようとした豪傑がいた。笑っちゃいかん。
英語発音風になっておる。「ルイズ」と発音すればもっと英語発音に近かったのだが・・・。
 パリ。綴りはParisだ。が、英語発音では「パリス」という。それが英語式発音では正解なのだ。
 Buffet。原語はフランス語だろう。大体料理に関する用語はフランス語が圧倒的に
多い。が、英語でももはやフランス語式発音をしている。
 支那語の「自助餐」。まさに意味を精密にすべてを表している。なぜ日本人はこれを使わぬ?

 「なんだ。英語は勝手なんだな。」と憤慨すること勿れ。
 じゃ、お尋ねする。日本語に溶け込んで長い「ハンカチ」はどうだ。Handkerchiefが
原語だ。一方、これもカタカナ日本語に帰化して久しい「サンドイッチ」は? これを支那語では
「三文治」と置き換えている。文字に意味はない。まさしく発音だけを踏襲している。
 はい、「サンドイッチ」の原語は? Sandwich。
 ずばり解説しよう。
 「ハンカチ」のHandkerchiefは、このカタカナ日本語は近い。「ハンカチーフ」が
もっと近いが。dを発音しない。英語では。
 「サンドイッチ」のSandwichは、まるで飲み込んだ三文治を吐き出しそうになる。
無理にカタカナにその原語の発音すれば、「サンウィッチ」となろう。そう、ここでもdは発音し
ないのだ、英語では。支那語の方が原語に忠実な発音をしている。
 そして今流行りは、「リラグゼーション」だ。Relaxation。念の為、日本でも、
医療介護業界は、これをカタカナに置き換える時、「リラクセーション」と表している。
 しかし、いずれにしても、「くつろぎ」というちゃんとした日本語が格好悪いと映るのが、平成
日本人だ。もはや明治の日本人からみても、平成日本人は国籍不明者に堕してしまった。
 健康方面では、日本語では「ゆったりしたくつろぎ」が妥当であり、一方、この語が政治・国際法
上に使用されると、「・・緩和・・」と訳さねばならないだろう。

 本論に戻そう。
 筆者は洋食派だ。数年という経歴ではない。数十年という歴史を誇る。小学生時分以来である。
 それは父の自営を手伝う母親が、毎朝炊飯などの家事をしておれない、だから、パンを並べて
すぐに工場に父を手伝いに走る。父母より遅く起床した我々四人の子供は、三々五々にそのパンを
食べて朝食とした。
 (昔は、父母は子供らより起床が遅い、ということはあり得なかった。今、日本でも、怠け者の
  母親は子供より遅く起床するようである。当地香港社会はそれが顕著だ。その香港社会、まさに
  日本の真似をしているのか、昨今家庭内暴力が一挙に増加した、と新聞で報じていた。)
 が、おかしなもので、我々兄弟中、その朝食におけるパン食を維持しているのは筆者だけだろう。
 後はその反動か、飯がないと落ち着かぬ、という。筆者は朝食にパン食及び珈琲がないと落ち着か
ぬ。
 当然、このホテルでも洋食本位。そうだ。朝食は「自助餐」だった。ある日、段取りの関係上、
昼食をもこのホテルで取った。その時も洋食本位。Soupを注文すれば、必ずパンがつくのが、
世界の常識。が、この常識がまだ日本じゃ浸透していない。いつぞや、そのパンがやって来ないの
で、ちゃんとしたイタリヤ料理店で、脇の迷惑そうな面持ちの家人を尻目に、女給にパンを催促
した。なるほど鼻糞ほどやってきた。食事が終り、勘定の時になり、そのパンが勘定に課金されて
いたのであった。嗚呼。
 が、この中華人民共和国・浙江省の五星級旅館ではちゃんと世界の常識を弁えていた。
 パンが皿に盛られて運ばれてきた。

   
 驚いた筆者は、わざわざパンを他の皿に移転させ、そうやって撮影したのが上の写真である。
 パンを敷く用紙みたいなものに、見事に金箔加工を施してあったのである。

 その用紙を裏返したのが、以下である。



 微かに表面の金箔加工の形跡が垣間見える。

 1. 身近な清潔面 ・ 用紙を敷くというのは、仮にパンに油性があればそれを吸い取り(天婦羅
          を置く場合と同様)、出来るだけベタベタした状態を与えぬように、という配慮
          と、後は皿自体に衛生面が期待できない場合、その衛生面を配慮。
           だから、皿自体が衛生面で合格であれば、この用紙は全く不要。現実に、
          朝食時、これはない。

 2. 加工せる用紙 ・ 何事も工業加工品は有毒物質が含まれているといってよい。本当の金色と
          いうより、毒々しい色が増しているこの加工。
             もう観た目で、背筋に寒気が走った。筆者がウンコ色と貶している頭髪も
          同様である。が、平成日本人はそれが流行だからといって耳を貸さない、そして
          公害病へと一路まっしぐらである。20年後、奇形児が異常に増加するはず。

 申すまでもない、実際にこれらの食物を食するに当たり、筆者はこの加工せるきれいな金色の紙を外し、
皿をおのれ自ら携帯せるちり紙にて(大陸への旅、ちり紙、湿紙巾の携行は不可欠である。女性だけでない、
男性も。)しっかり拭き取り、そのきれいになった皿の上に直にパンを置き、食作業を履行したのである。

 まだまだ細かい面での服務がまったく欠けている、という一方では、かくのごとき要らぬところによけい
な配慮を与えてくださるのが、中華人民共和国の服務である。               ■





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